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2016/09/23(金)
「あの世」と「この世」の境目―黄泉比良坂【中編】
記憶違いでなければ、あの世とこの世がつながるのは「夕方」だったはず。
島根といえば宍道湖の七珍!シーバス!!ということで、少しだけ離れたところにあった河口でルアーをキャストしつつ時間を潰し…
夕方5時ごろに、再び黄泉比良坂(よもつひらさか)に向かったのでありました。
いちおうオートで…
この黄泉比良坂、かつては心霊写真スポットとしても名を知られていたところだということは、昨日の【前編】にも少し書きました。
以前の『ゆうれい寺』、『七つの家』の時と同様、今回も写真はすべてAUTOモードで撮り、リサイズだけ施しました。何か写っていたら間違いなく心霊写真ですが…
それこそ写ルンですの時代から、あやしい場所で何百枚も写真撮りまくっているのに、これまで一枚も心霊写真など撮れたことないほどの霊感ナシ人間ですから、そこはあまり期待されませんよう…
踏切を越えると、そこは「あの世」か。少しだけ緊張が走る感じ。
400メートル行くと、先程の黄泉比良坂の麓の広場。
しかし…写真ではイマイチ伝えきれませんが。まだ日が高い時間に来たときとは全く雰囲気が異なっています。
珍しいな、なんて少し感動していた注連縄門も、なんだか異様というか。
注連縄も、そして注連飾り(?)もこの様子。
はっきり言って、ちょっと不気味でさえあります。
伝説の地はここである、というようなことが記された石碑も。記録に残る日本最古の夫婦ゲンカもしくは離婚騒動の現場はやはりここなのか。
その傍らには桃の木が。ヤマモモらしいです。
昔話の『桃太郎』や、女性を祝う雛祭りが『桃の節句』と呼ばれるのを見ても分かるように、桃は誕生や出産といった「生命」に関わりの深い、神聖な果物でもあります。
『西遊記』でも、孫悟空と猪八戒が桃を食べて不老不死を得ましたよね。
イザナギが追っ手の邪鬼を払うのに使ったのも桃の実。逃げ切られて怒るイザナミは「これから毎日、1000人の人間を殺す」と宣言し、対するイザナギは「それなら毎日1500人が生まれるようにする」と応え、この時から現在まで連綿と続く生と死、つまり“人類の営み”が始まった―とされています。
千引の岩!?
そして、さらにその奥には、
巨岩がごろごろと。
イザナギが黄泉の国に通じる道を塞ぐのに使った、千引(ちびき)の岩です。
“千引”とは、「1000人がかりで引っ張らないと動かない」というような意味。
たしかにデカい!
土木系のお仕事をされている方、したことある方なら「そうそう!」と頷いてくださるでしょうが…
岩って、動かすのが大変です!当たり前みたいに聞こえるかもしれませんが、実際にやってみると本当に大変。掴みどころがないし、実は大部分が土に埋まっていたりもするし、大きさの割りに重かったりするし、想像もつかないような転がり方をして、ヘタしたら大怪我につながるし。他の重量物とは別格です。
これなんか、下1/3ぐらいは地中に埋まっていそう。
1000人はちょっと言い過ぎかもしれませんが、動かすのにはかなりの人手が要りそうな巨岩の数々。
そして、その岩の周辺には、
こんな風に珠が置かれていたり、
小さく石積みされていたり。
ここは結界の中のはずですから、おそらくは魔除けというよりも供物の意味合いが強いと思うのですが、
そばに賽銭箱はありますし。謎だ…
いよいよ黄泉比良坂へ
いい感じに辺りも暗くなってきましたので、
「あの世」への通り道、黄泉比良坂を登ってみましょう。
傍らには立て看板が。
イザナギが桃の実を投げて、難を逃れた話が書いてあります。
『この坂で魔物に追われたら桃を投げなさい』という指示でしょうか。
持ってきてないよ、桃なんて…
本当に、霊感とか全くないはずなのですが。さすがにこの雰囲気には呑まれてしまいそう。
あまり虫の鳴き声なども聞こえてきませんし。もちろん一人ですし。
あの世への道が、こんなにも静かだったなんて。