今回の記事は、日本中のごくごく一部の人にしか意味が分からないと思うのですが…“昭和”がまたひとつ失われていってし
2016/10/14(金)
10月にお参りすべき?な出雲大社【後編】
出雲大社の御神体は何!?の答えは…
『誰も知らない』が正解です。ちょっと反則気味ですね、すみません。
誰一人、この出雲大社の御神体を目にした者はいません。
歴代の神職の方々も、皇族の皆様、そして天皇陛下でさえもご覧になることは出来ない、完全に未公開なものだそうです。
これまでに何度か、御神体を覗き見ようとした者がいたそうですが、誰一人として成功していないとされています。例えば、
初代出雲松江藩主の松平直政は、無理やり御神体を見ようとしたところ、目の前に巨大な蛇が現れ、ほうほうの体でこの出雲大社を後にしたのだそうな…
結城秀康の子であり、真田幸村にその武者振りを称えられるほどの剛の者であった松平直政でさえも恐れをなしたと云われる、出雲大社の御神体。
平成の御世となった今もなお解明されていない、このミステリアスなところも日本神話の持つ面白みだと思うのですが、いかがでしょうか?
お参りのルール
たびたび書いている通り、出雲大社は日本の神社の中でも特別な存在。
そういうこともあってか、ここだけの特別なお参りの“作法”があります。
一般的な『二礼・二拍手・一礼』も、
ここでは『二礼・四拍手・一礼』が正しい参拝のやり方。以前紹介した、大分県の宇佐神宮もそうでしたね。
昔は神社によって、礼や拍手の回数はまちまちだったそうです。明治時代に一般的なお参りの仕方を統一しようという動きがあり、戦後に現在の『二礼・二拍手・一礼』に落ち着いた、という経緯があるそうです。
ですが、この出雲大社や宇佐神宮などのように、昔の作法をそのまま現在に伝えているところもあります。
二礼・四拍手・一礼の参拝を終えたら、この位置から右側に、つまり本殿を中心に“時計と反対回り”に移動していきます。
摂社・末社がいくつも並んでいますので、それぞれにお参りして、
玉垣(本殿を取り囲む壁)に沿って歩いていくと、
やがて、正面に向かって左側(西側)に、このような看板と、
小さなお賽銭箱、そして多くの参拝者の姿が。
本殿の中にある神座は西を向いておられるので、こちらでも拝礼しましょうと書かれています。もちろんこちらでも『二礼・四拍手・一礼』です。
…と、少し長くなってしまいましたが、要は『二礼・四拍手・一礼』と『正面から左回り(時計と反対回り)』と、この『西側からも本殿にお参りする』のが、出雲大社の基本です。
境内には多くの参拝者がいますので、周りの人たちと同じように、流れに乗って移動していけば問題なし。実際はそんなに難しいものではないですよ。
なぜ『縁結びの神様』なの?
本殿の西側に、
このような、南北に細長い建造物がありました。
これは十九社(じゅうくしゃ)という、いわゆる宿舎です。ただし、神様のためのお宿。全国的には神無月、ここ出雲では神在月になると、全国からこの出雲大社に神様がお集まりになる、というのは有名なお話ですよね。そのときに宿泊されるのがこの十九社なのです。
では、神様って、いったい何のために出雲に集まられるのでしょうか?
…答えは『会議のため』なのですが。では、そのときの議題って何??
もちろん、神様の裁量に任されるべき、いろいろなテーマについてお話になることでしょう。
しかし、その中でも重要な議題が『縁結び』。
「○○村に独り者の男がいるぞ、どこかにお似合いの娘はおらぬか?」「では、△△村に住んでいる、この娘とくっ付けてみよう」というようなやり取りが行われていると、桂枝雀さんの落語で聞いたことがあるのですが…
とにかく、男女間だけでなく、人と人との“縁”は、すべて神在月にこの出雲大社で決定されるそうですから、寂しい秋そして冬を迎えそうな方、出雲大社にお参りして、「私はここにいますよ~!」って猛アピールしてみてはいかがでしょうか?
巨大な注連縄!神楽殿
そして、出雲大社といえば、当然こちらも外せないですよね!
神楽殿。巨大な注連縄(しめなわ)でおなじみです。
長さ13.5メートル、重さ4.4トンの、文字通り日本最大級の
巨大な注連縄です。
見るたびに圧倒されます、とにかくスゴい!
そして、ついついこの威容っぷりに気を取られがちですが、
神社建築では珍しい?ステンドグラス張りになっています。
正面の額には、
『神光満殿』の文字。神様からの光で満ち溢れていますよ、という意味でしょうか。
こちらも…一生のうちに一度は生で見ておくべきだと思います。
実は…11月です!
本当に、他にもまだまだ紹介したいことが。
例えば、野見宿禰(のみのすくね)神社。
野見宿禰と当麻蹴速(たいまのけはや)の一戦が、日本の相撲の起源と言われていますが、この時の取り組みは「野見宿禰が当麻蹴速を蹴り倒し、上から踏みつけた」そうですから、
これは相撲というよりも総合格闘技に近い?シュートボクセの選手みたいな戦い方です。マウリシオ・ショーグン的ファイターか、野見宿禰さま。
こちらは東日本大震災を生き残った、
奇跡の一本松。
大津波に呑まれ、7万本からなる松林の中でただ1本だけ残ったクロマツの枝から、接木で蘇った二世松です。『蘇り』の象徴として、この出雲大社に植えられています。
そして、こちらはニュースにも大々的に取り上げられていたので、ご存じの方も多いと思います。
平成の大遷宮のお知らせ。出雲大社はおよそ60年に1度、大々的に修造工事が行われます。この際、御神体や御神座を一時的に別の場所に移し、修造後にまた元の場所にお帰りいただく。これを遷宮といいます。
今年(平成二十八年)の春にひとまず完了したそうなので、もしかしたら今が一番美しい出雲大社なのかも?何年か前にお参りしたという方も、今年もう一度訪れるべきです!!
…と、ここで。
前・中・後編と3回に渡り「10月の出雲は神在月」と書き続けてきたわけですが。
実は…出雲大社の神在月とは、本来は『旧暦』を指します。日本中の神さまがこの地に集われるのは、今年(平成二十八年)なら11月10日からです!お間違えなきように!!
タイトルに『行くべき?』とクエスチョンマークを付けたのはそのため。この時期(10月初頭)に記事をアップしたのも、旅行の計画を立てられるよう、ちょっとだけ時間的な余裕を持っていただきたかったからです。
とはいえ。
新暦10月の、爽やかな気候に包まれた島根県もオススメ。出雲は食べ物も美味しいし、温泉もたくさんありますし。旅するのにはちょうどいい時期でもあるんですよね。
秋の出雲を満喫して、そしてちょこっと縁結び祈願も…という方は10月に。
そして、「今年のクリスマスは絶対に誰かといっしょに過ごしたい!」という方は、11月10日からの『神在祭』を目指し、いざ八百万の神が集う出雲大社へ!!