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2017/05/30(火)
『カメノテ』を食べてみたい【前編】
海辺のテトラポッドや岩陰にひっそりと、そしてビッシリと張り付いているのをよく見かける、
カメノテ。
その名前が示す通り、カメの手に似ているからカメノテか。
安易すぎるネーミングではあるが、実はこのカメノテ、チヌ釣りなどの際には時に爆発的な威力を発揮することもある、隠れた一級釣りエサだったりもする。
ベテラン釣り師たちは、手持ちのエサが切れたときや、どうにも食いが渋っているときなどに、このカメノテの剥き身を使って勝負をかける。
そして、必ずといっていいほど、こう付け加えるのだった。
「まあ、カメノテは人間が食ってもウマいからなぁ。」
採取…ではなく購入で
子供の頃からカメノテはよく見ているのだが、もちろん食べたことはない。正直、あまり食欲の湧くフォルムではないし…
で、用意しました。前から一度、味わってみたかったのだった。方々で耳にする「カメノテは美味」という言葉、自分の舌で確認してみたいという気持ちを抑えきれなかったのだ…
商店街の魚屋さんで購入。扱っているお店を見つけるのが大変かと想像していたのだけれど、意外と普通に売っていました。
本当は自家採取したものを食べるのが王道なのだろうけれど、海辺に存在するものには“漁業権”が制定されている場合も多いと聞くし。まあ、カメノテ獲って激怒するような漁師さんもあんまりいないとは思うけれど。
それに、最近よくニュースになっている『貝毒』も気になる。アサリなど、都会の海にいる貝類には毒素を溜め込んでいるものも多いそうだ。まあ、カメノテはどちらかというとカニやエビに近い仲間らしいけれど。貝ではなくて。
何にせよ、素人の勝手な自己判断はヤメておいたほうがよいと思います。自分で採取する場合も、漁師さんなどに『獲ってもよいか?』とか『食べても大丈夫?』と、いちおう声を掛けておくべきでしょう。
『亀の手に似ているからカメノテ』ということなので、実際にクサガメの手のひらと見比べてみようではないか!と思ったのだが…
この亀、いつもはゴソゴソと落ち着き無く動き回ってやがるクセに、いざカメラを向けると、今日に限って、手足を引っ込めたまま全然動かんではないか!!
イメージとしてはこんな感じか?思っていた以上にぜんぜん可愛くならず、むしろ標本のような気持ち悪い写真になってしまった。ごめん。
20分ぐらい待ってみたのだけれど、全く手足を出すことはなく…
ようやく、後ろ足を一瞬だけチラッと出した隙にカメノテをセット。
質感など、似てるといえば似てなくもないけれど、よく見比べてみたら、まあ実際はそんなにソックリというほどではないような気もします。
塩茹でがベスト…しかし!
改めて。
よくよく見てみると、なんだかやっぱりグロいですね。
本当はボーダーレスのキッチンスペースでの調理を考えていたのだけれど、さすがにこの姿、女子社員たちの猛烈なバッシングを受けそうだったので自宅での作業に変更。匂いが出ても困るし。
このカメノテを買った魚屋さんに尋ねてみたところ、
■地域によって差はあるけれど、旬はだいたい初夏。
「今頃の時期から、まあ、お盆ぐらいまでが一番おいしいよ」とのこと。
■塩茹でが一番オススメ。
「ザーッと水で洗って、そのまま塩茹でにしたらいいよ」だそうな。
■居酒屋や小料理屋など、お店の人がよく買っていく。
「ウチはあまり個人で買っていくお客さんはいないね。ホント、おいしいのにね」って、通好みの食材ってこと?
■下半分の、黒くなっている部分を食べる。
白っぽい、爪のように見える部分はカッチカチに固いです。黒くなってる部分は袋状になっていて、調理後に剥いて食べるのが一般的なんだそうな。
お値段はだいたい100gで300円~400円ぐらいか。はっきりとしたことが書けないのは、たぶん魚屋の大将の言い値っぽかったから。
まあ、そんなにポピュラーな食材ではないし、生ものでもあるから、このへんは仕方ないと思います。ちなみに今回購入したものは、一山で450円でした。
教わった通り、ザッと水道水で洗い流し。
ペルセベスとかなんとか、スペインでは高級食材だそうですが…本当?ピカソやダリも喜んで食べたの?グロテスクすぎて、ぜんぜん食欲が湧かないのだが。
魚屋の大将に教わった通り、とりあえず煮立たせた塩水にそのままドバッと投入。塩の濃さはよく分らなかったので、ひとまず海水ぐらいにしてみます。
茹で時間はちょいと長めにしてみよう。気持ち悪いし。
グラグラと煮え立つカメノテ。
だが、ここで、実に実に気持ちの悪いものを目撃してしまう…煮汁のほうをよく見てみると、釣りエサに使うゴカイのようなものや、カニの子分っぽい変な生き物がそよそよと漂っているではないか!もちろん死んでるっぽいけど。
どうやら洗い方がマズかったようだ。カメノテの隙間に、いろんなゴミや生き物が潜んでいたようなのだ。気持ち悪いよ!!
と、同時に…キッチンに、素晴らしく良い香りが漂い始める。香ばしいというか、食欲をそそるというか。サザエの壷焼きにも似た磯の香りが。。。