>【前編】はこちら< 地震の前は、広い境内に多くの建築物が並ぶ、本当に見事な神社だった
2018/02/06(火)
遊園地最後の日―北九州のスペースワールド【後編】
年越しカウントダウンには見事に間に合いませんでしたが、
閉園のカウントダウンまでにはまだ時間があります。園内にそびえ立つ、スペースワールドの顔ともいうべきスペースシャトルには、閉園までの残り時間が映し出されています。
シャトルの前の光の輪っかは、ジェットコースターのヴィーナスGP。コースターが走り抜けた後、流れ星のようにキラキラ光るのです。
これはジェットコースターに並ぶ前に撮ったものですが、スタッフさんたちからのメッセージも映し出されてました。
寂しい気持ちになりますが。何度も書いている通り、“楽しい場所なんだから、明るく楽しくお別れを”というのが、グランドフィナーレのコンセプト。あんまり暗くなってはイケマセン。寂しがるより、最後のその姿を心に焼き付けておかなければ。
園内をフラフラと散策中、どこからともなく聞こえてくる歌はスペースワールドのメインテーマ『GO TO THE SPACE WORLD』。これはNEWバージョンか。
ちなみに作曲したのは谷川賢作さん。市川崑監督の映像作品には欠かせない、あのお方です。
もう一つ、閉園するに当たって作られた『さよなら遊園地』という曲もちらちらと聴こえてきます。このCMのBGMです。歌っているのは元・中ノ森BANDのギターヴォーカル“AYAKO”こと中ノ森文子さん。福岡出身です。
せっかく北九州まで来たんだから、焼きカレーとか、有名な“銀河のチャンポン”とか食べたいし…と、これまで園内で食事したことは無かったのですが、最後に食べておきましょう。
園内にあるラーメン屋さん、『流星軒』のラーメン。
お腹が落ち着いたら、園内をブラブラと。
隠れキャラの宇宙人も見納めか。。。
【前編】でも少し触れたように、スペースワールドは福岡有数のクリスマスイルミネーションスポットでもあったんですよね。なんだかんだで、ここ何年かは毎年観に来てました。
そして、やっぱり目が留まります。来園者のラクガキ。
どこにでも自由に描いてOKだったようです。
ステージ広場。北九州の人たちはここで成人式を行っていたのかな?
そうそう、ついつい忘れがちですが、スペースワールドは楽しい遊園地であり、そして“宇宙”について学ぶテーマパークでもあります。
月の石。日本には東京とここ福岡にしかない、月の石。閉園後はNASAに返却するのかな?と思っていたら、今後も福岡が預かるようですね。
そして、隕石。自由に触ったり持ち上げたりできます。42キロもあってバリ重いですけれど。隕石を間近で見れたり触ったりできるって、今から思えば贅沢なことですよね。
寄せ書きのノートもあって。
お別れのメッセージを読むと、やっぱり“27年”という歴史の重さ、深さを感じてしまいます。
そんなこんなで、園内をブラブラとしているうちに、
閉園まで20分を切りました。もう大人しく、このスペースシャトルの前の広場で待つことにしましょう。閉園カウントダウンは絶対に参加したいし!
ついに、いよいよ閉園カウントダウン…
あちこちからぞくぞくと、シャトル前にお客さんたちが集まってきました。
みんな黙って、静かに、シャトルに映し出される残り時間を見上げています。
もっとみんなワイワイ騒いだり、スマホ触ってツイッターなどに呟いたりするのかと思っていたのですが、とっても静かでした。ほとんど無言に近いような感じで、じーっとスペースシャトルを見上げています。
閉園までの残り時間が5分を切ると、さらに静かに。
明るく楽しくお別れしよう!が閉園のテーマだったからか、スタッフのお姉さんが元気に「では、残り10秒から、皆さんでカウントダウンしましょう!!」と呼びかけてくれたのですが、
いまいち盛り上がらず、というか、観客の「しんみり」が勝ってしまったというか…やっぱりこれを“明るく、楽しく”は迎えられないですよね。
遊園地が終わる瞬間。
カウントゼロにほんのちょっと遅れて、おそらく最後のヴィーナスGPが新しい年の夜空に流れ星を描いて。2018年1月1日午前2時、こうしてスペースワールドは27年の歴史にピリオドを打ったのでした。
お出かけしておこう、別れが来る前に
いよいよ本当のお別れ。
スタッフさんたち、元気いっぱいの笑顔でお見送りしてくれました。
まだまだお仕事中のスタッフさんたち。逆光で分かりにくいけれど、笑顔は伝わりますよね??
園内のラーメン屋さん『流星軒』のみなさんも記念撮影中。僕が窓の外からカメラを向けると、笑顔で手を振り返してくれました。
僕もこれまでに何度か、自分の勤めていた会社やバイト先が無くなる瞬間に立ち会ったことがあるので、気持ちはよーく分かるつもり。ヤケに明るいんですよね、自分も周りも。家に帰ってから急に寂しくなったりするもの。
ラッキー・ラビットくんも、いつも通り明るく、でも、どことなく伏し目がち。ありがとうね。さようなら。ショーもパレードも楽しかったよ。
出入り口のゲート前にはスタッフさんが並んで、お客さんたちと握手。
笑顔でお別れ、『なくなるョ!全員集合』のコンセプト通りです。
で、これは何でしょうか?栞かな?手作り感いっぱいのこちらを、来場者全員に手渡ししてくださいました。ありがとう!宝物にしますよ。
ゲートを出て。あぁ、いよいよ本当にスペワとサヨナラの時だ…
みんな、ぜんぜん帰らねぇ!
帰らない、というよりも、帰れないという感じなのか。別れを惜しむかのように、閉園時間の2時を過ぎても、2時半を過ぎても、お客さんは入場ゲート前から立ち去ろうとしません。元日の早朝ですから、けっこう寒いはずなんですけれど…
3時半ごろだったと思うのですが、スタッフさんたちと、おそらく園長さん(?)が、ゲートの向こう側で最後の挨拶。
「27年間、ありがとうございました!」という言葉に、僕らは惜しみない拍手で応えて。福岡の遊園地・テーマパークのスペースワールドと、ここで遂に本当のお別れしてきたのでした。
楽しい場所が無くなってしまうというのは、とても寂しいことです。
そして、人の縁と同じく、思い出の空間さえも、突然にサヨナラしなきゃいけない時がやってくるのだなぁと、改めて思い知らされました。
ついつい億劫がってしまって、「まあ、また次の機会に。」なんてことを思ってしまいがちですが。
反省の意味もこめて、今年からは気になるスポットにドンドンお出かけしようかな?と…いや、「存在してくれているうちに」お出かけしておかなければ!と思うのです。
そうそう…本文中では、スペースワールドが『閉園』したと書いてきましたが。実は、閉園していません。
園内に貼ってあったポスターには、『またいつか、別の星で会いましょう。』という意味深なメッセージ。そして、説明書きには…
牡牛座の方角、地球から417光年離れた星。このたびわたしたちは、その星に『スペースワールド』の名前をつけました―
ようは、星の命名権を取得して、『スペースワールド』と名付けた…宇宙に“移転”して営業中!ということか?
月までの距離がおよそ38万キロメートルで、これは約1.3光“秒”だそうです。光速なら1秒ちょっとで着く距離。新装オープンのスペワは417光“年”ですか…
スペースシャトル使ってもムリな距離!しかもこれは模型だ。
福岡県の星野村というところに、100センチ天体望遠鏡を備えた『星の文化館』という天文台があるそうな。行ったことないんですけどね。
空気が澄み始める秋あたりに、417光年先で元気に営業中のスペースワールドを眺めに行ってみようかな?と考え中…いや、行っておかなければ、ですね。