「少女漫画が原作」。 この一文が映画の宣伝文句に付くことで、客が何を期待するかというと、おそらく「胸キュン」で
2018/11/27(火)
九州のオバちゃん直伝!『ゆず胡椒』の作り方(その2)
クックなんちゃら的な料理レシピ系サイトには、たぶんほとんど『青い柚子を使う』と書かれているはず。
なのに、九州で40年以上も柚子胡椒を作り続けているオバちゃん曰く、「黄色く熟れた柚子を使いなさい」だそうな…マジか!?
しかし、この柚子を買った八百屋さんのオジさんオバさんも、「そうそう、黄色い柚子の皮を使ったほうが香りが良くなるよ!断然イイ香りの柚子胡椒が出来る」と仰ってました。柚子胡椒発祥の地・九州では、黄色くなった柚子を使用するのが定番なの??
そして、皮だけを使うので当然ですが、なるべく表面がきれいなものを選ぶことと、そして、できればサイズの大きい柚子を使いなさいと。写真だと左側のようなのがオススメだそうな。
なぜ大きいものがイイの?と尋ねると、「皮がぶ厚いし、作業しやすい」というお返事。なんだ、味や香りがよくなるわけではないのか?と、この時は若干腰が砕け気味でしたが。
のちのち、実際に作り始めると「なるほど!大きい柚子のほうが圧倒的に有利だ」ということに気付かされる…さすが、40年も柚子胡椒を作り続けているオフクロさんの技よ!!
唐辛子の仕込み①
まぁ、そんな柚子を使うのはもう少し先のこと。まずは唐辛子の仕込みからです。準備するように言われた道具類は、(その1)で紹介した通り。
いわゆる“鷹の爪”と呼ばれているもの。シシトウガラシではありません。もちろん、できるだけ表面がきれいなものを。
今回使用するような、茎の部分の長すぎるものは、
先端のほうだけ、ちょこっと切り落としておきます。根元から切ってはダメ!この「先っぽのほうだけを切る」理由は後ほど。
このように、ヘタを残したままで…
ジャーっと水洗いして、ふきんなどで表面の水分をふき取ってから、
窓際など風通しのよいところで20~30分ほど乾かします。カラカラに干すのではありません。あくまでも、表面の水分を飛ばすだけ。
ここまでの一連の作業は、すべて完成した柚子胡椒にムダな水分を含ませないようにするためのものです。
柚子胡椒は「長期保存できる調味料」であることが大前提。余分な水分を含ませると傷みやすくなります。茎の先端部分だけを切る、ヘタを取らないのもそのため。唐辛子の実の中に水が入り込んでしまうのを避けるためなんだそうです…なるほど、理にかなっているというか、深いなぁ柚子胡椒作り!
唐辛子の仕込み②
自家製柚子胡椒の手ほどきをしてくれたオバちゃん曰く「コショウ(唐辛子のことです)を甘く見たらいけん。」はい、このあたりからそろそろ、その(1)で準備しておいた『メガネ・マスク・手袋』を装着したほうがよいと思います。
洗った後、水分をよく飛ばした唐辛子。もし、『フードプロセッサー』をお持ちであれば、このまま塩と一緒に投入して、みじん切りにしちゃってください。オバちゃんも今はそうしているらしいです。
で、塩の分量なのですが、これがどうも…オバちゃん曰く「毎回3キロも4キロも作るけん、いちいち量りきらん。」まあ、そうでしょうね。40年もやってるのだから、何となくの感覚で塩加減されているのでしょう。
でも、いろいろとお話を聞かせてもらっているうちに、だいたい、唐辛子の重さの30%ぐらいかな?と推測(※後でもう少し詳しく書きますが、これだと仕上がりは少しだけ塩辛く感じました。25%弱ぐらいでよいかも?)
私はフードプロセッサー持ってないので、昔ながらの作り方を。まずは包丁でザクザクとみじん切りに。写真の通り、タネもヘタもそのままみじん切り。
ある程度細かく刻んだら、すり鉢に入れて塩をし、すりこぎでギコギコとすり潰していく…うう、シンドい!すぐに腕が疲れてくる…
バリバリの重労働です、すり鉢。こりゃ絶対にフードプロセッサーを使うべき。今回なんて、唐辛子はたかだか80グラム。よかったです、最初から1キロとか2キロ作ろうとしなくて。
まあ、それはともかく。ここ、ひとつ重要なポイントですね。ヘタの部分もそのままなんですが、唐辛子の中身の『タネもそのまま使う』という点。
料理レシピのサイトなどでは『中を割って、白いタネを取り除く』と書かれていることも多いですが、九州のオバちゃんは「そげなことせんでよか。タネもそのまま使え」と。
でも、確かに、福岡で自家製の柚子胡椒を出してくれる料理屋さんものを見ていると、けっこう『タネそのまま』の場合も多いんですよね。
そういえば…以前、別のある料理人さんも「唐辛子の辛さを活かしたいなら、タネも使うべき」と仰ってました。気になる人は取り除いてもいいと思いますが、その(1)でも書いた通り、今回は福岡で40年間も自家製柚子胡椒を作り続けてきたオバちゃんのオリジナルレシピを参考にしてますので、教わったそのままを再現したいと思います。
普段使い慣れない、すり鉢&すりこぎのコンボに腕がパンパン。それに、マスク・メガネをしているのに、唐辛子が秘めたパワーに押されてクシャミ連発…辛気強烈!
本当はもっと細かく、ネットリと練り上げたようになるイメージだったのですが。やはりフードプロセッサー使用を断然支持しときましょう。自力でやるのはコレが限界です。
本当は8月下旬のお盆過ぎ頃には、この状態にしておかなきゃいけないらしいんですけどね。その後2ヶ月ほど冷蔵庫で寝かせて、秋ごろに出荷が始まる柚子と合わせて完成するものらしいんですけれど。
オバちゃんには「そげな短い時間じゃ、無理ばい。」と冷ややかに告げられましたが。ひとまず4~5日ほど、タッパに入れて冷蔵庫で保管しておくことにしましょう。
と、その前に、とりあえずひと口だけ味見を…ぺろりと。
なっ、なんだこれは!?戸棚とかに不意にアタマをぶつけてしまったときのような衝撃が全身を走る…生の唐辛子ってこんなにも辛いものなのか!!
タバスコ並みというか、もしかしたらそれ以上かも。大丈夫なの!?ちゃんと食べられる柚子胡椒が作れるのかコレで…!?
(つづく)