>【前編】はこちら< ようやくネコに出会えたものの… 神苑(庭園)の草む
2018/12/25(火)
和歌山ラーメンをバスの中で(!?)食べてきました
2年ぐらい前に、和歌山県の高速サービスエリア(紀ノ川だったか?)で食べた、
和歌山ラーメン。
和歌山といえば醤油の本場。そこに豚骨ベースのダシ。醤油と豚骨が織り成す見事な美味しさ!高速道路のサービスエリアでさえ(失礼!)このウマさなのだから、有名な専門店だったら、どんなに素晴らしい“和歌山ラーメン”を食べさせてもらえるのだろうか…
あれから2年経って。久しぶりの和歌山県への出張です。今回こそは、ちゃんとした専門店でラーメン食べたい!ネットにはいろんな有名店の名前が。井出商店とか?丸高っていうお店も美味しそう!!
ちょうどそんな時、現地でお世話になった方から「和歌山ラーメンですか?それやったらオモロいラーメン屋さんがあるんですけれど。」とアドバイスいただきまして。
教えてもらったのが、この…
なんじゃこれ!?店というか、もしかしてバス?動かなくなった廃バスか?
『中華そば 和歌山バスラーメン・山崎食堂』というノボリも立っていますし、
いちおうノレンも出ています。なので営業中なのは間違いないでしょう。しかし、一見さんかつヨソ者にとっては入りにくい事この上なし。『ワンマン入口』ってよ…
感度上げたり、ちょこっとだけ照明を強めにしたので(かなり車通りの多い道路沿いだったので、事故防止のためフラッシュは控えました)、写真はまあまあ明るく写っていますが。
正面から。現地はもっと真っ暗です。
「たしか、夜しかオープンせえへんラーメン屋さんだったはずですよ」という情報だったので、遅い時間に来てみたわけですが…昼間ぐらいに一度来て、外観だけでも写真撮っておくべきだった!
くどいようですが、現場はもっと真っ暗で、写真の数倍は怪しい雰囲気に包まれています。こんなところで食事を、しかも、憧れの“和歌山ラーメン”を!?
本物の廃バスです
勇気を振り絞って入店、というか、むしろ乗車。
中身は普通、いや普通じゃないですね。バスの車内としても、ラーメン屋さんとしても、どちらにしても特殊というか異様というべきか。
入り口を内側から。ドア部分の左上には『運賃90円』。
窓もそのまま…バスのままです。
座席のシートがすべて取り払われて、カウンター席になっていることと、
このように、後ろのほうがキッチン(というか台所っぽい感じ)に改装されているので、しばらくして見慣れてくると『バスに乗っている感』みたいなのはなくなってきますが。
とはいえ、「和歌山ラーメンをココで食べるの!?」と考えると、やや抵抗感というか違和感というか…ホントに大丈夫!?
創業49年の老舗!
この日だけなのか、それとも、いつもそうなのかは分からないのですが、
オーナーさんであり、ママさんでもある女性が一人で切り盛り。とっても気さくな方!いろいろと楽しいお話を聞かせてくださいました。ちなみに大衆演劇が大好きだそうな。
このお店は祖母に当たる方が始められたそうで、こちらのママさんで3代目なんだそうですよ。今年(2018年)で創業49年!すげえな!!老舗といえるんじゃないかしら?
「元々はウチのお婆ちゃんがこの店始めてね、そのあと母が跡を継いでたんだけど。お母さんも亡くなってしまってね。で、もう閉めてしまおうか?とも思ったんだけど…やっぱり、思い入れもあったしね。」ということで3代目に就任。というか、このレジよ!カッコよすぎます。
天井。空気取り入れ口か?それとスピーカーかなぁ?『阪急バス』として、実際に街中を走っていたものだそうです。
ママさんの話によると、かつて和歌山県には廃車になったバスを利用した食堂や飲み屋さんなどが、数多く存在していたそうです。ちょっとしたブームだったみたい。
それが…「今も残ってるのは、たぶんこの店だけやと思うんやけど…」という状況だそう。
屋台みたいなものだったんでしょうね、きっと。お店を建てるよりかは費用もかからなかっただろうし、だからこそ食べ物や飲み物を安く提供できるし。廃バスを利用したお店はきっと、和歌山の人たちにとって、高度成長期の“庶民の味方”だったはずです。
ラーメンはマトモです(笑)
ヨソ者の僕が感傷に浸りすぎるのもどうか?逆に失礼かも!?せっかく和歌山まで来ているんだし、ここはせいぜい心の底から和歌山ラーメンを楽しんで帰ること、それが来訪者としての心意気というものでしょう。
やはり、お値段はどれもお手ごろ。そうそう、和歌山ラーメンは“早や寿司(はやずし)”と呼ばれるサバのお寿司と一緒に食べるのが定番なんですよね。
それぞれの席に一皿ずつ、あらかじめセットしてあります。欲しい人は勝手に食べて、あとで自己報告するパターン。
同じく、ゆで卵も「自由に手に取ってみて!」と言わんばかりに置いてありますが、もちろんこれも有料。と言っても50円でしたけど。
写真を撮ったり、早や寿司をイジったりしているうちに、いよいよお待ちかね!待ってた待ってた、こちらが長年(というか2年ぐらい)待ち焦がれていた、
和歌山ラーメンです!しかも、廃バスの中で邂逅する和歌山ラーメン。
湯気がスゲぇ!いかにも出来たて、アツアツです。そして、その湯気と共に立ち上ってくる醤油の香り。これがまた素晴らしい!!醤油ってイイ香りなんだな~と、改めてそう感じさせてくれるスープ。
具はネギと激ウマのチャーシュー、そして、
ポロリと1切れ、カマボコ。なんで!?これも和歌山ラーメンの定番だそうです。
肝心の麺は、
思っていたよりも細めです。かといって細麺というほどでもなし。やや細めの中麺という感じ…って、もうガマンできん!
さっきから書いているように、醤油の香りがタマらないんですよ、激しく空腹にアピってくるのですよ。さっそくひと口、ズルズルっと。ああ、うまいなぁ、もう!
豚骨醤油ラーメンなんですが、独特の豚骨くささはナシ。コクとウマ味、そこに醤油の塩気と甘味。こんなこと言ったらナンですが、ラーメンは外観からは想像できない本格派の美味しさです。
どちらかといえば濃いめの味のラーメンに、
舌がちょっと慣れてきたら、醤油も何も付けない“早や寿司”でお口さっぱりリフレッシュ。名物料理の取り合わせって、やっぱりよく出来ているなぁとまたまた感心してしまいます。ラーメン大盛りにしときゃ良かったなぁと、ちょっぴり後悔したりして。
おでんも美味しい!
早や寿司とゆで卵だけでなく、
おでんも自己申告制。勝手に取って、お勘定のときに何串食べたか報告するシステムです。
ママさん曰く、「おばあちゃんらがこの店やってた頃は、しょっちゅう串の数ごまかされたりしてたんよ~」と、じゃりン子チエみたいなエピソードも。昭和だなぁ。
ラーメンのスープがウマいんだから、おでんのダシが美味しいのも当然。ああ、車じゃなかったら1パイ飲んで帰るとこなのに。ウチの近所にあればなぁ、バスラーメン。
ここでママさんから、またまた気になる一言が。「おでんの豆腐って食べたことある?和歌山じゃけっこう普通なんやけど。」って!?
厚揚げとかは普通に食べますけれど。本当にそのままの豆腐なんですね!
固めの木綿豆腐に串打って、おでん鍋にそのまま泳がされてる感じ。これに大量のかつおぶしとネギ、そしてポン酢をかけて食べる、要は『おでん+湯豆腐』。これがまたウマいウマい!
定番なのかどうかは調べてないので分からないのですが、ママさん曰く「和歌山では普通によく見かける食べ方」だそうですよ。でも、とっても理にかなった調理法ですよね。これは自宅でも試せるので、皆さん一度やってみてはいかが?
●山崎食堂(和歌山バスラーメン)
和歌山県岩出市山崎228
ツイッターをやっておられるそうなので、営業時間や定休日などはそちらをチェック…と思いきや、あんまり更新されていない様子(笑)辺りに駐車場らしきものは見当たりませんが、バス(というかお店)に横付けするように駐車すればOKらしいです。車の交通量がかなり多いので、道路には絶対にハミ出さないように注意!!
ラーメンも早や寿司もおでんも美味しいし、しかも安いし、お店はこんなにもケッタイな感じで、実に絵になるし。なのに、ママさんは「いつまで続くかねぇ、このお店は。」と、なんだか少し寂しげ。
「こんなこと、今では絶対にダメなんだけどね…」と強く前置きされた上で。
おばあちゃんたちがこのバスラーメンをやっていた頃は、お店の真横の県道10号線を走る乗用車やトラックの運転手さんが立ち寄ってくれて、おでんをアテに、まあ軽く1パイ飲んだりして、ラーメン食べて…と、賑やかなお店だったそうです。
(くれぐれも言っておきますが、これは昭和30年代とか40年代のお話。当時は交通量も今ほど多くはなくて、しかも、車の性能も道路の状態も良くはなかったでしょうから、そんなにスピードも出せなかったはず。ママさんも僕も、決して今どきに飲酒運転を勧めるものではありません)
場所的にも辺鄙なところにあって、おそらくは車でないと来れないと思います。ですが、個人的にはこの『山崎食堂』、和歌山に行かれた際には是非とも立ち寄っていただきたいなぁと。
すぐそばには紀ノ川が流れていて、夕焼け空にとっても映えるお店だとも思います。もう平成も終わろうかというこのご時勢に、『昭和』感ムキ出しのバスラーメンをオススメするのもどうか?と思うのですが。
もし和歌山ラーメン食べ歩きなどを計画されておられるのでしたら、そのリストにこの『バスラーメン・山崎食堂』もいかがでしょうか?昭和がまだギリ残っているうちに、ぜひここの美味しいラーメンとおでん(とくに豆腐おでん!)を味わってもらいたいなぁと思うのです。
(※記載されている内容・データ等はすべて2018年12月のものです)