『ボーダーレス クルマ部』会員番号002の“けっこうクルマ好き”です。 今回は密かに静かに、そして地味に人
2016/08/26(金)
大人の自由研究~『タマムシ』を捕獲したい【後編】
かつては少年昆虫博士だったお父さんたちでも、「実はタマムシ(ヤマトタマムシ)を捕まえたことがない、間近で動いているところも見たことがない」という方、意外と多いのでは?
クワガタやカブト虫は憧れの虫でしたが、タマムシはその上をいく“幻の存在”。一度は捕まえてみたい、目の前で観察してみたい、と思っていたのですが。
ネットであれこれ調べてみても、どうも核心を突かないというか。ボンヤリとした情報しか書かれていないような…
長崎県の田平市にある、たびら昆虫自然園。
虫のことを学べる博物館です。餅は餅屋、やはりこういうことは専門家の方に直接お話をお伺いして、そして正しいアドバイスを頂くというのが成功への近道でしょう。
普通の博物館とはヒト味違う!たびら昆虫自然園
一般的な昆虫館といえば、水槽などで飼われているものをガラス越しに見学する場合が多いのですが、この『たびら昆虫自然園』は、
敷地内のほとんどが大自然そのまま。
園内に里山が再現されていて…というよりも、里山の中に一部だけ展示スペースとしての建物があるだけという感じ。
敷地内、ほぼ森林状態です。
その中を学芸員さんたちが、
このように、お客さんを引率しつつ、目に留まった虫たちについて説明してくださいます。
天然の樹液に群がるカナブンたちと、よく見ればヨツボシケシキスイもいるじゃないか!懐かしい!!小学生の頃はよく捕まえたなぁ。
そしてそして、
よく見たら、クワガタもいっぱいおるやんけ!ノコギリクワガタか?ツノが一本折れてしまっていますが、まぎれもなく水牛。
木の幹にはハラビロカマキリの幼虫。
「この中に昆虫が隠れています。さて、どこでしょう?」という昆虫写真クイズの常連、ナナフシの姿も。
さて、どこでしょう??
本当はもっともっとたくさんの虫たちを見ることができたのですが、
虫が苦手な方に「グロい!」とイヤがられるのもツラいので、この辺で。
園内を散策しつつ、虫と出会えば、そのつど案内の学芸員さんが生態や食性などについて詳しく説明してくださります。もちろんこちらからの質問もOK。
ただし、園内の虫たちを捕まえたり、持ち帰ったりすることは出来ません。当たり前ですが。
夏休み期間中ということもあってか、小さいお子さんが多数。みんな大ハシャギ状態!引率のお父さん達も、野生のカブトやクワガタを見て興奮気味。
虫の暮らしを間近で観られる、感じられるという、ムシ版ジュラシックパークというべき楽しいところです、たびら昆虫自然園!
タマムシを待つ…
学芸員さんたちの楽しいお話に、すっかり当初の目的を忘れてしまいそうでしたが。そうです。今回は昆虫の観察が目的ではなく、『どうしたらタマムシに出会えるか?』について聞きにきたのでした。
学芸員さんに事情を説明し、「タマムシに出会える秘訣って、なにか無いですかねー?」とアホみたいな質問を投げかけてみると、
「園内にもいますよ、ヤマトタマムシ。この木の上あたりを時々飛んでいますね。」とのお答えが。それマジですか!?
タマムシの特徴として、
■新芽を齧るので、枝の先端(=高い所)あたりを飛ぶことが多い
■日中の暑い時間によく飛んでいる
とのこと。初めて具体的な情報を入手した感じ。なんといっても目撃情報アリですから、別の場所の森林などに移動せず、ここで待っていたほうが遭遇できる可能性が高いかも?
お昼2時ごろなので、時間的にもバッチリ。
『タマムシがよく飛んでくる木』を見上げること小一時間。
あかん。頭がクラクラしてきた…
あれは!?まさか・・・
今年の夏はまた格別に暑いですよね。
炎天下に、いつ飛んでくるとも知れないタマムシを待ち、ボーッと木を見上げる中年おじさんを不憫に思って下さったのでしょうか。
学芸員さんが特別に、タマムシをちょくちょく見かけるという別のポイントまで案内して下さいました。
そして、
■木の幹や根元などの、低いところもチェックすべし
とのアドバイスも。たしかにタマムシはよく空を飛ぶそうですが、時おり休憩がてら低い場所をウロウロ歩いていることもあるんだそうな。確かにそっちのほうが捕まえやすそうだし、それにもう空を見上げるだけなのは退屈だし。
コチラのほうが木々の背が低いですね。タマムシの大好物であるエノキやケヤキの木もそう高くはないので、飛んでいても見つけやすそう。
テッポウユリ?それともタカサゴユリ?キレイなぁ。
でんでん虫、デカっ!500円玉サイズ!!
僕らが子供頃は、このぐらい大きなカタツムリがそこらじゅうにいたのに…
などと、辺りをくまなく調べつつ、もちろん空を飛んでいないか頭上もチェックしつつ、ここでも30分ぐらいタマムシの姿を探して。時にはさっきの高い木のところまで戻ったりして。なのに、ぜんぜん見つからん。。。
そんな時!何かが突然飛んできて、僕の服にピタッと止まる。
シロスジカミキリかぁ、夏らしいですね…お前じゃねぇよ!!
空を見上げるのももう疲れたし、さすがに草花を見るのにも飽きてきました。
時間のムダだし、これなら別の企画に切り替えたほうが良いかも?
本当に心が折れかけてました。
その時、
ふと、地面の方に目を落とし、木々の間にある丸太置き場のほうを見てみると…
地面に並べられた木々の間をうろちょろしてる…
お前、タマムシだろ!?
予想以上のすばしっこさ!
前半にも書きましたが、ここ『たびら昆虫自然園』では、園内での虫の捕獲や持ち帰りは厳禁です。
ですが、夏休み期間中ですし、来園しているたくさんの子供たちに「生きたタマムシを見せてあげたい」ということで、特別に許可をいただいて…
後ろからそーっと…やりました、小学生ときからの夢、叶いました!!
これが夢にまで見たタマムシ(ヤマトタマムシ)です。
すごい…あまりの美しさ。思わず見とれてしまう…と!
うわっ!あぶない、逃げる逃げる!!
…これまでタマムシを捕まえることができなかった理由が分かったような気がします。彼らはとてもすばしっこい!
■見かけによらず猛スピードで、しかも立体的に動き回ります
かと思えば、今度は完全に死んだフリ。微動だにしません。
で、気を許していると、いきなり飛び立とうとします。甲虫のクセにほぼノーモーションから離陸しようとするし。
忍者です。森の忍者。
ド派手な身なりで力強く動き回り、そして忍術も使う…前田慶次か!?
ゆっくり観察
あまりにも素早く飛び去ってしまいそうだったので、
またまた特別に、館内の一室をお借りして、
こちらでゆっくりと観察させていただけることに。本当に感謝です!
学芸員さんが、僕の捕まえたタマムシをヒョイと優しくつまみ上げ、
「ほら、分かります?タマムシの頭って、ペコンと凹んだようになっているんです。」
写真では見づらいですが、確かに、両目の間が陥没したようになっています。こういうことも、捕まえてみて初めて分かる事。やっぱり実際に体験してみるに限ります。
しかし…
本当にジッとしていないんですよね、タマムシって。
僕のように虫を撮り慣れていない人は、一眼レフカメラなどよりも、スマホやコンパクトデジカメのように片手で操作できるカメラを使ったほうが、キレイな写真を撮れるんじゃないかと思います。
もう一方の手をフリーにしておかないと、いきなり飛んで逃げられてしまいそう。
仕方なく、透明のケースをお借りして。
ああ。やっぱり美しいです。
芸術の神様が、なにかの間違いで昆虫を作ってしまったっていう。そんな感じがします。
顔はちょっとグロい?でも、これこそが生き物の素顔です。
そして、これも捕まえてみて初めて知ったことですが、
背中だけでなく、お腹も美しい!何色というのでしょうか?赤色でもないし、朱色でもないし。不思議な暖色です。本当はひっくり返ったところの写真を載せたいところなんですが、虫がニガテな人には脚部が印象悪そうなんで、腹部チラ見えのものを。
標本や写真では、あまり裏側(お腹側)がどうなってるか分からないですよね?興味ある方はぜひ捕まえて観察してもらいたいです。個人的には、背中よりもお腹のほうが美しいと感じました。
ゲットしたときの優越感はレアなモンスター以上!?
ともあれ、小学校時代からの夢も叶い、そしてこの企画自体もなんとか成立いたしました。
それもこれも、たびら昆虫自然園の学芸員さん、スタッフの皆さんのお陰です。
本当にありがとうございました!!
ちなみに、
■タマムシ自体の個体数はそう減少していない。関東地方でも郊外にはかなりの数が棲息している
らしいですよ。(ただ、北海道には棲息していないそうです。そして東北地方も、場所によっては厳しいようです。)
そして、【前編】をお読みいただければわかると思いますが、森林のど真ん中でこのすばしっこい虫を採るのは至難の業かと。
たびら昆虫自然園の学芸員さんによると、
■森や林の中にある、少し開けたところが見つけやすいかも?
だそうです。おそらく、
こういう感じの場所が狙い目かと。周囲を木々に囲まれていますが、一部だけ伐採されていて、
ここはシイタケ栽培用のホダ木を積んであるみたい。森林の中にも、このように物を置いたりするために、一部が開けたようになっているところがあるので、そういう場所を重点的に探してみると良いかもしれません。
充分に観察したあと、捕まえたタマムシは森に無事お帰りいただきました。
小学校時代からの憧れ、自分にとっては幻の生き物だったタマムシ。
夏休みももう間もなく終わりますが。いかがですか?レアポケ○ンをゲットするのは半日だけ置いておいて、たまにはお子さんといっしょに昆虫採集とか。
リアルな分だけ、タマムシのようなレア度の高い昆虫をゲットしたときの優越感はハンパなく高いですよ!