現在、社会でいろいろな決定権を持っている、いわゆる「大人たち」…40代後半から50歳手前のオジサンがまだ10代だ
2017/11/24(金)
紅葉いろいろ【後編】
ツタの他にも、秋に赤く染まる葉では
サルスベリ。あまり知られていないのでしょうか?SNSなどでもほとんど見かけないような気がします。カエデに負けないぐらい、とってもきれいな紅葉っぷりだと思うのですが。
春は芽吹きが可愛らしくて、夏はキレイな花が咲いて、秋にはこの美しい紅葉が楽しめて。病気にも強くて手入れもそう難しくない、しかもそんなに急激に大きくはならないし…ということで、お庭でも公園でもよく見かけるんですけどね。
猿がすべって登れないようなツルツルの木、ということでこの名前!?トンチが効いて可愛いいネーミングだと思います、サルスベリ。実際のところ、野生の猿はスルスルと登っていくらしいですが。
黄色の王者、イチョウ
カエデと並んで、こちらも定番中の定番、
イチョウ。街路樹の王様的存在で、黄色に変わる木の葉の代表格。
黄色く変化する場合を『黄葉』(オウヨウ、またはコウヨウ)と呼んだりする場合もありますが、【前編】でも少し触れたように、『紅葉』には「色が付く、染まる」というニュアンスも含まれているので、黄色い葉っぱを紅葉と呼ぶのも、別に間違いではないそうです。
イチョウはこう見えても実は針葉樹の仲間。生きた化石とも言われる、非常に原始的な植物だとか。
東京を象徴するものの一つとして、『都の木』に選ばれています。東京都のマークもこの通り、イチョウの葉をモチーフにしたもの…ではなくて、実際は「TOKYO」の頭文字の“T”を図案化したものだそうです。でも、ぜったいにイチョウの葉っぱも意識してますよね!?
『燃えにくい木』としても知られています。イチョウを植えていたおかげで延焼せずに火事を消し止められた、という武勇伝も多し。このあたりが街路樹として人気の秘訣だと思うのですが…
この葉っぱの多さ。落ち葉が多いこと、しかもその葉っぱは厚い上に独特の油分が含まれていて、雨の日には道路に張り付いてツルツル滑るし。おまけにあの銀杏(ぎんなん)の匂いも敬遠されがち…最近では街路樹にイチョウを避ける自治体もあるそうですよ。
黄色い紅葉いろいろ
イチョウ以外にも、黄色になる木はたくさんあります。
これはムクロジ。あまり聞き慣れない名前ですが、昔から日本人の生活に深く関わってきた樹木です。よーく見ると実がぶら下がっていますね。
熟した実の中には固くて真っ黒なタネが入っています。羽子板に使うハネの先に付いている黒い部分、あれにはこのムクロジのタネが使われているそうですよ。他にも数珠の玉としても広く使われているそうです。
英語では“Soapberry”。石鹸の果実?…じつは、ムクロジの実を水の中でゴシゴシやると、石鹸みたいにブクブク泡立ちます。これ、なかなか楽しいので機会があれば試してみてください。キャンプの時に使う食器ぐらいなら、充分キレイに洗えます。
もうひとつ、黄色い紅葉を。
散歩しているとき、どこからともなく甘い香りが漂ってくることないですか?カラメルを作っているときのような、砂糖を少し焦がしてしまったときのような甘い香り。
「どこかでケーキ作り?それとも焼きイモとか?」と、辺りをキョロキョロと。そのとき、もしこんな木が目に入ったなら、
香りの正体はこの葉っぱかも?カツラ(桂)です。
ハートの形をした可愛いらしい葉っぱ。公園や土手などで普通に見られる樹木です。この紅葉~落葉の時期だけ、見た目だけでなく香りでも楽しませてくれる…
…のですが。木についている黄色い葉っぱをちぎって、手のひらの中でモミモミしてみても香りはしません。
このように、地面に落ちた葉っぱから、甘い甘い香りがしてくるのです。
とっても珍しい紅葉
では最後に。とっても珍しい紅葉を。
おそらく、実物を見たことあるって人、ほとんどいないのでは?
赤いジュウタンが敷かれているのではありません。シチメンソウ(七面草)という植物が大地を覆っています。海のすぐそばの、干潟にしか育たないという珍しい植物。
日本ではもう佐賀県の一部でしか見られないのだとか。目の前は有明海。
花壇のすぐ真横にはムツゴロウが!
干潟のど真ん中にも堂々と自生。普通の植物は塩水を嫌うものなのですが、このシチメンソウには関係ないみたい。
春~夏は鮮やかな緑色をしているそう。秋の終わりにだけこのように真っ赤になるという、まさに“海の紅葉”です。
これは10月下旬に撮った写真だそうで、実はまだ本格的な紅葉じゃないらしいです。この記事がアップされる頃には、もっともっと鮮やかに“秋萌え”しているのではないか?とのことです。
夕日が差すとさらに色鮮やかに。
さすがに佐賀県は遠いので、シチメンソウを実際に見るのは大変ですが。日本にはまだまだ、私の知らないこんな紅葉もあるんですね。ちょっと感動しました!
まだまだ間に合う“身近な紅葉狩り”
他にもまだまだ、
小さくてかわいらしい葉っぱ、スモモの一種のベニバスモモ。もともと赤っぽい葉ですが、この時期はさらに鮮やかに染まります。
こちらはなかなか味わい深い?今まさに紅葉しようとしている、
“ドングリの木“としておなじみのコナラ。葉っぱの真ん中あたりに、まだ『夏』を引きずっています。往生際悪いなぁ(笑)あと3日ぐらいすれば、完全に真っ赤な葉になるはずです。
これは“紅葉”ではありませんが、おなじみのナンテン(南天)の実。子供の頃にちぎって集めたことがある人も多いでしょう。大人になってからじっくり見ると、つやつやしててとってもキレイなんですよね。
この実が赤く染まりだすと、いよいよ本格的な冬がやってきます。
「モミジの名所にも行かないうちに秋も終わってたよ…」と嘆いてる方も多いと思いますが。わざわざ遠出しなくても、近所の公園やマンションのアプローチ・エントランスの植え込みにも、実はひっそりと『紅葉』が存在しています。
いつも歩いているコースを、いつもよりも少しだけキョロキョロしてみましょう。12月の初めごろまではギリギリ大丈夫だと思いますよ。自分だけの小さい秋を見つけていただければ、と思うのです。