「少女漫画が原作」。 この一文が映画の宣伝文句に付くことで、客が何を期待するかというと、おそらく「胸キュン」で
2017/06/02(金)
『カメノテ』を食べてみたい【後編】
…カメノテを水洗いするのに使ったザルを、よくよく見てみると、
念のため軽くモザイクかけておきますが。ゴカイの切れ端やら、見たことないエイリアンみたいな虫の死骸みたいなのがたくさん残っているではないか!?
熱湯で茹で上げるのだから、食べても体に害はないはずです。でも、カメノテは調理する前に、思っている以上に念入りにゴシゴシと洗うべきでしょう。
いよいよ試食!
少々グロいモノを見て、多少萎え萎え気分ではありますが。
前回も書いた通り、キッチンはとっても良いニオイに包まれているのです。伝わりますかね?この湯気。立ちのぼる湯気とともに、サザエの壷焼きにも似た、どうにも食欲をそそる磯の香りが。
と、いうわけで、ついに“カメノテの塩茹で”完成。
用心のために、かなり長い時間をかけて茹でたのですが、
見た感じ、縮んだり変色したりというのは無さそう。
こんな風に、
茶色い、袋状になっている方を、プリッと皮を剥く感じで。包丁など使わなくてもOK。指で簡単に剥くことができます。
中身はうっすらとピンクがかっていて、表面はつるつるです。
並べて比べてみるとこんな感じ。左奥のは皮を剥く前のカメノテです。白い爪のような部分はとても固いです。食べられないみたい。
ではさっそく、一口いただいてみます…
ぱくっと。むぐむぐ…
う、うまい!なんというウマさよコレは!!
食して納得。風味はカニやエビに近いです。ですが、食感は貝柱のよう。臭味などは全くナシ。とってもアッサリとした味わいですが、嚙めば嚙むほど甘みと旨みが滲み出てきます。そこに、たまらない磯の香りが!
味付けは塩だけ。ポン酢なども一応用意はしておいたのですが、ぜんぜん必要なかったです。というか、調味料は逆に邪魔になるだけでしょう。まあ、あえて言うならレモン汁をザッとかける程度にとどめておくべきか。
私の幼稚な味覚を文字にすると、エビっぽい味+ほんのりカニ味噌風味+貝柱の食感。こんなもんシーフードの三冠王やがな。これほど日本酒に合う肴は他にあるのか?
チヌやサンバソウ(イシダイの子供です)などがバッチバチ当たってくるのも納得。そして、釣り場で出会うオジさんが「人間が食ってもウマいからな」と言わずにおれなくなるのも納得。
欠点といえば…食べるところが少なすぎる!
でも、そんなにバクバクと大量に食べるものでもないでしょうしね。とにかく、これだけは声を大にして言いたい!カメノテはメチャ美味しいです!!
他の料理も試してみる
で、非常にもったいない、
カメノテを茹でた煮汁。いいダシの香りがプンプンしてます。下ごしらえをちゃんとしていたら、これを漉して美味しい味噌汁やウドンが作れたりしたはず。
ゴミやゴカイの切れ端なんかも一緒に煮てしまったので、今回は泣く泣く捨てることにしました。ホント、もったいない!!
いいダシが出る食材は蒸し物に、ということで
少しだけ残っていたカメノテを、今度はよーく洗って霜降りしてからホイル包み焼きに。本当は酒蒸しにしたかったのだけど、準備がメンドくさかったので。
基本はお酒と塩のみ。あとは醤油と鷹の爪を少々、
付け合せはエノキとシメジで。ネギをぱらっと散らせて完成。ちゃんとした器に移し替えたら、立派な小料理屋の小鉢メニューですよコレ。
カメノテから出るダシは想像通り、いや、思っていた以上に深い味わいです。工夫しだいで色んなシーフード料理に使えそうな気がします。まさに未知の強豪、カメノテよ!
『カメノテを食べたい』まとめと注意
では、カメノテを調理するにあたって、気が付いたことなどを簡単にまとめ。
■甲殻類アレルギーの方は要注意!
見た目は貝類ですが、カニやエビの仲間です。医者ではないので確信は持てませんが、甲殻類アレルギーをお持ちの方は食べないほうが無難でしょう。
■自家採取する場合は自己責任で!
アウトドア慣れしていない方なら、鮮魚店で買うのがベストかと。漁業権の問題もありますし、甲殻類の仲間とはいえ、ライフスタイルは二枚貝そのものですから、貝毒的な心配も拭えません。それに岩から剥がすときにケガする恐れも。
とはいえ、このテの食材は自分で獲りたくなるのもよーく分ります。あまりヤボなことも言いたくないですし、採取する場合は自己責任でどうぞ!
■ちょうど今頃(春~初夏)が旬だそうです
獲れる場所によって多少の差はあるそうですが、春から初夏にかけてがカメノテの旬だそうですよ。入手もしやすいでしょうから、ファーストコンタクトを取るなら今かも!?
■調理の前に念入りに洗うべき
火を通すので別に体には影響なさそうですが…個人的にはタワシか何かでゴシゴシ洗うぐらい念入りなほうが良いかと。硬い殻や皮に覆われているので、多少強く洗っても旨味が逃げてしまうことは少ないと思います。
■オススメは塩茹で。しかし、他の料理にも使えそう
塩茹でが簡単なのでオススメ。元々に塩味がけっこう付いているので、あまり濃い塩水で茹でる必要はないと思います。薬味はいりません。そのままで充分に美味しいですよ。せいぜいレモン汁ぐらいでしょうか。
旨みたっぷりのダシが出ます。なので、今回試した蒸し物や、あとは椀物とか、意外とパスタやパエリアとかにも?アイディア次第でいろんな料理に使えそう。ただし、食べられる部分はかなり少ないので、下処理がメンドくさいかも?
『美味しんぼ』だったか何かのグルメ漫画に「見た目がグロテスクなものほど美味しい」というようなニュアンスのセリフが出てきたように記憶するのですが…カメノテこそホントそれ。見た目の不気味さに惑わされて、こんなにも美味しい食材をスルーしてきてたなんて。
こうなれば、釣り人の間で『エサにもなるし、人間が食べても美味しい』のもう一方の雄、フジツボにもトライしてみますか!?