ここのところ、ずっとパソコンの前に座りっぱなしで映像の編集作業を。 好きで飛び込んだ世界だし、もちろん楽し
2018/07/27(金)
昭和7年ごろの、小学生の『夏休みの宿題』(たぶん)
古本屋でこんなものを買ってみました。
尋常小学校の『夏期学習帖』というタイトル。店員さんにいろいろ尋ねてみたのですが、「よく分からない」とのこと。ただし、何かの付録などではなく、当時の小学校で配布されていた宿題の一部であろう、ということ。
この日は何冊もまとめて古本を買ったので、いくらか値引きしてもらえました。なので、この学習帖の値段はよくわからないのですが…たしか400円か500円ぐらいだったはず。
昭和7年の夏休みの宿題?
改めて表紙をよく見てみる。
尋常小学校の第2学年と書いてあります。尋常小学校というのは、明治時代から、いわゆる“6・3制”が始まる1947年まで存在していた(1941年に『国民学校』と呼び名が変わったそうです)義務教育期間のことみたいです。
裏表紙には『昭和7年』と書いてあります。尋常小学校の制度は何度か変更されているそうですが、この年代なら現在の小学校とあまり変わらないシステムのはず。つまり、尋常小学校第2学年ということは、今の小学校2年生と同じ年齢だと思います。
そして、名古屋の文字もあちこちに。中部地方の小学校で使われていたものみたいですね。
学習時間表の横には野球少年たちの姿。見事なトルネード投法!この頃は野球が少年たちの遊びの中心だったみたいですね。ちなみに日本にプロ野球が発足(読売ジャイアンツの結成)したのが1934年、昭和9年のこと。つまり、まだこの時にはプロ野球は存在していないことになります。
なので、この少年が被っている野球帽の“W”のマーク、これはたぶん当時人気のあった大学野球の、早稲田のことではないか?と…大洋ホエールズではなく。
そんなことはどうでもよくて。
ここに『定価』が書かれているんですよね、4銭と5銭。使える日にちの長さによって値段が違うみたい。ということは、ひょっとしてコレ、本屋さんとかに売られている問題集とかドリルみたいなもの?それとも、学校で買わされたりしたのかな?謎は残ります…
味わい深い挿絵の数々
謎を引きずりつつ、中身をパラリとめくる。ぶ厚い、なかなか上質な紙が使われています。80年以上も昔のもの、しかも小学2年生が使っていたとは思えない良好な保存状態。
『本帖の特色』には、“先生と保護者の方へ”と書かれています。やっぱり尋常小学校で使われていた教材なのかなぁ?
まぁ、それはひとまず置いておいて。『こころえ』に書かれている言葉に注目。
●朝は早く起き、夜も早くお休みなさい
●毎日、決まりよく“おさらい”をしなさい
●家のお手伝いをしなさい
●危ない遊びは止めなさい
●食べ物に気をつけなさい
●よいお友達と、お遊びなさい
読みにくいので漢字を交え、一部を現代仮名遣いに変えましたが。80年以上も変わることのない、小学生に対する夏休みのお説教。いつの時代も不変のテーマみたいです。でも、ものすごく丁寧な、優しい言葉遣いなのがちょっと感動。
夏休み初日はいきなり“修身”。今でいう道徳に近いもののようです。
『あなたはどんな事をして両親を慰めますか?』『親類の子供がいらっしゃった時、どうしてあげますか?』…とても7歳の子供に対する質問とは思えない!今じゃちょっと考えられません。戦前の子供たちは、日常から厳しく躾けられていたんですね。
『づぐわ』!?いったい何の勉強だコレ!?…たぶん『図画(ずが)』でしょう。写生しなさいって書いてあるし。色塗りもしなきゃいけないようですね。
しかし…この農村の挿絵、なんとも味わい深いです。
他のページにはこんな絵も。馬に乗っているおじさんの表情がステキすぎ。
スイレンの葉のまわりで遊ぶカエル。枠線のデザインが秀逸。手描きの味。
柱で背くらべするお姉さんと弟か。シンプルな線に愛嬌ある表情、帯のシワまで丁寧に描かれていて。こんな挿絵がいっぱい載っています。
何度も書きますが、これは昭和7年・1932年のもの。今から86年も前の教科書です。今や世界中で評価されている日本のマンガ。その源流を見たような気がします。
難しい問題も…
最初の修身も難問でしたが、
今でいう国語の勉強でしょう。読み仮名を付ける問題、小学2年生にしてはかなりハイレベルなように思うのですが。僕の頃はもっと簡単だったとはずだけどなぁ。しかもこれ、テストとかじゃなく、夏休みの宿題だし。
“さんじゆつ”は、おそらく今の算数でしょう。2ケタの足し算引き算と、文章題は読みやすく変えますが『50銭持っていって、37銭の鉛筆を1ダース買いました。お釣りはいくらか?』…これも今と変わらないか、ヘタしたら今の小2の宿題よりも難しいかも?
当時は『手工(しゅこう)』という、今でいう工作の授業もあったそうです。男の子は竹で水鉄砲を、女の子は紙で人形に着せる服を作らなきゃいけないみたい。夏休みの工作ですね。竹筒で水鉄砲って!YouTubeで動画見ながらとかじゃないと作れませんよ、オッサンの僕でも。
今でも難しいような問題ばかりかと思えば、こんな『夏休みの思い出』の作文も。これは今も昔も変わらない、宿題の定番みたいですね。
おまけに問題も?
今から80年以上も前から『夏休みの宿題』があったことに、まず驚きましたが。その内容がとてもハイレベルなことにも驚き。
『キャンプ』なんて、もうこの頃からあったんですね!いろいろと勉強になるなぁ。
学生の頃は、8月の終わりごろにヒイヒイいいながらやっていたもんです。今も昔も変わらず、夏休みの宿題ってメンドくさかったんでしょうね。。。
と、いうところで、オマケ。
昭和7年版・おそらく名古屋あたりの尋常小学校『夏期学習帖』の、これが最終日の宿題。この絵の中に平仮名がいくつか隠されているそうです。
お時間ある方、当時の尋常小学校2年生になった気分で探してみてくださいね!(残念ながら、答えは載っていませんでした…)