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2015/05/07(木)
安倍晴明が掘った井戸を見てきたよ(福岡県太宰府市)
いつの間にか、福岡県の中でも全国的に知名度が低めな、隠れた名所的なところを紹介する係みたいになってしまったんですが(笑)
そんな僕のアンテナに、『福岡県の太宰府市に、安倍晴明が掘った井戸がある』という情報が引っかかりました。あの安倍晴明ですか!?それは早速調査しに行かないと!
安倍晴明とは
その前に、少しだけ安倍晴明(あべの せいめい)についてお勉強しておくことにします。
ご存じ“陰陽師(おんみょうじ)”ですね。夢枕獏さんの小説を元にした映画などで、一時期ちょっとしたブームにもなりました。
作品内では不思議な能力を使って平安時代の妖怪たちから京の都を守る、いわば超能力者のように描かれていますが…
本来の“陰陽師”の仕事は、土地を測量して建物の位置を決めたり、天文学や気象学で天変地異を予期したりという、今で言うところの国土交通省や気象庁のような役割を担うものだったんだそうです。
なので、そういうゴーストバスターズ的な役目よりも、むしろ『井戸を掘る』ということのほうが、安倍晴明の本来の仕事ということになるでしょうか。
と、ここまで調べて、あとは出発するのみ!と思ったのですが…
ネット上に情報が少なすぎる
この『ボーダーレスの秘密』で福岡の街へお出かけするとき、僕はあえて、あまり下調べせずに出かけることにしています。
そのほうが楽しい出来事に出逢える気がするし、何よりも福岡の皆さんはとっても優しい人たちばかりですから、そんな人たちと触れ合うなかで、また別の新しい発見があったりすることも多いので。
ですが、今回の『晴明の井戸』については、あまりにもネット上に情報が少なすぎ!『晴明の井戸』を検索すると、なにかと京都の“晴明神社”周辺がヒットしがちで。
とりあえずわかったのは“西鉄二日市駅が最寄り”というのと、“榎社(えのきしゃ)”という神社?お寺?の近くにある、ということぐらい。詳しい住所もわかりません。
とりあえず二日市駅で降りて、タクシーの運転手さんたちに尋ねてみても、みなさん「聞いたことないなぁ」とか、「知らんねー」というお答え。ううむ、本当にあるのかなぁ??
とりあえず、もう一つの手がかり「榎社」まで乗せて行ってもらいました。
タクシーの運転手さんによると、この「榎社」は、もともと“学問の神様”菅原道真公がお住まいになっていたところなんだそうです。
そう言われれば、大きな鳥居はありますが、中は神社仏閣というよりも、むしろ広大なお屋敷の跡という感じがしないでもありません。で、ここからが本題の『安倍晴明の井戸』探しですね。
うろうろと歩きつつ、道行く人に声をかけて尋ねようと思うのですが・・・人が歩いていません!!
住宅街のど真ん中なんですよね、この辺り。それも、新興住宅街ではなく、ちょっとだけ昔からある街並みという感じで。
とにかく道も細いし、路地や曲がり角もそこら中にあったりして。よくある名所案内のようなものもありません。要は観光地ではない、ということなのでしょうか?
なんとなく、情報が集まらなかった理由が分かってきた気がします…困りました。
そして、ついに発見!
なんだかんだで30分以上もうろうろと歩きまわったでしょうか?何人か通行人の方にも尋ねてみたのですが、みなさん「安倍晴明の井戸?聞いたことある気がするけど場所までは…」というような感じです。
すっかり困り切ってしまったので、お仕事中に本当に申し訳ないなぁと思いつつ、榎社の近くまで戻り、目の前にあったJAに飛び込んで尋ねてみました。
若い職員さんたちは「??」といった感じだったのですが、所長さんらしき方が「おぉー、たしかこの先にありますよー!」と地図帳を出してくださって。
歩いて行くにはけっこう距離がありますが、とりあえず榎社から東にまっすぐ行けばあるみたい。
で、再びトコトコと…2キロメートルぐらいでしょうか、けっこうな距離がありましたが、とりあえずひたすら歩いていくと…
これですか、安倍晴明の井戸って!!
でも、これは土地勘がないと見つけられませんね、たしかに。まわりは普通の民家しかなくて。街角にポツンと存在している感じです。でも、近くで見るとやっぱりすごいです。
側に生えているのは榎の木だそうですが、こんな太い幹のなんて見たことないです。しかも、信じられないような形。何らかの力が作用しているようにも思えます。
たしかに晴明の井戸って書いてあります。水が枯れることはないのだそうな。
近くを通りかかった方にお話を聞いてみたところ、かつて、この井戸の前には大きな池があり、その池とこの井戸は、この周辺に住む人たちにとっての“水神様”として、大切に扱われてきたそうなんです。
時代の移り変わりとともに池は無くなってしまったそうですが、水道水を使うようになった今でも、昔からこの近くに住んでる人たちは、この井戸を大切にされているようです。
すぐ横手にベンチがあって、ちょっとした憩いの場になっているんですが、とてもきれいに掃除されていますね。
なんというか…観光スポットとか歴史スポットというよりも、“パワースポット”っていう言葉がピッタリくるような雰囲気でした。厳かな気持ちになるというよりも、なんとなく優しい気持ちになれるというか、癒される感じでしょうか?
安倍晴明や陰陽師のことを詳しく知らなくても、訪れて損はないスポットだと思いますよ!
まとめ
●太宰府に安倍晴明が掘ったと言い伝えられている井戸はたしかに存在した!
●史跡というよりもパワースポット的な雰囲気に満ち溢れている。
●アクセスはかなり大変です。
●静かな住宅街の真ん中にあるので、深夜や早朝の訪れは避けるべき!
もし行かれる方は、西鉄二日市駅からタクシー、もしくは西鉄バスで『筑陽学園前』から徒歩で、というのがよいかも?かなり見つけにくい場所にありますが…
もしタクシーを使われる場合、ネットには「榎社」の近くと書いてあるのを見かけますが、そこから2キロぐらい距離があるので、歩きだとけっこうしんどいです。「隈麿公のお墓」(くままろこうのおはか、隈麿公とは菅原道真の子どもです)か、「えのき公民館」まで乗せていってもらったほうが近付けるかも?
あと、自動車で行ってみようと思われる方、この周辺は見通しの良くない細い路地がかなり複雑に交差してますので、正直あまりオススメしません。近くにコインパーキングなども、僕の見る限り存在しませんでした。
取材を終えて…
事務所に戻ってくると、スタッフの岡本さんが何やら作業中。
いっぱい話したいことあるんですよ~!安倍晴明の掘った井戸へ行ってきて。でも、そんなスゴいところなのに、ごく近所の人たちにしか知られてないっていうか。。。
それを聞いた岡本さん、メンドくさそうに、
岡本「あぁー、あの太宰府の辺りは歴史のある街やから、どこを掘り返しても土器やら木簡やらザクザク出てくるらしいで。せやから安倍晴明一人にこだわってるヒマないんと違うか。」
そして、
岡本「あの井戸な、晴明が掘った井戸って言われてるけど、あれウソらしいで。」
…たしかに史実には残ってないそうなんだけど。まったくもう、このオッさん、夢もロマンもないんだから(笑)