>【前編】はこちら< もう1時間近く歩いてきたので、ちょこっと一休み。
2017/12/01(金)
熊本城、2017年の秋【後編】
加藤神社から。熊本城天守閣のいちばんのビュースポットです。
この日は土曜日で、普通はお休みの日のはずなんですが…どこからともなく、トンカントンカンと、建築現場でよく耳にする音が響いてきます。もしかしたら休日返上で復旧作業されているのでしょうか?
「新しいお城をイチから建てたほうが簡単」なんていう声も聞こえる中、できるかぎり元の熊本城を活かしつつ、文字通り“復活”させようとしておられる皆さんには、本当に頭が下がります。
見落とせない加藤神社
順序が逆になってしまいましたが、拝殿にお参り。
加藤神社の拝殿って、他の神社とはちょっと雰囲気が違うというか。どことなく寺院っぽい?清正公が熱心な仏教徒だったのも影響しているのでしょうか。
境内はそう広くはありません。天守閣以外はあまり注目すべきものはなさそう…ではありません!拝殿の右奥にあって、ちょっと分かりにくいのですが、
これは見ておくべきでしょう。加藤清正本人が植えたといわれるイチョウの木。
異様な佇まい。太い!!街路樹で見かけるものとは全く別モノの雰囲気。
何年か前に、明治神宮の『清正の井戸』がパワースポットとして注目されて、携帯電話の待ち受け画面にするのが流行ったことがありますが、
この、清正公お手植えのイチョウもパワースポットと呼べるのではないでしょうか?この一角だけ、なんだか不思議な空気に包まれています。
そしてもうひとつ…前回ここを訪れた時は、社務所がまだ閉まったままだったので拝受できなかったのですが、今回は頂きました!
御朱印!普通は神社の名前が書かれているものですが、この加藤神社では『仰清正公』。しかも御朱印には有名な“片鎌槍”が。
ご由緒書き(神社のパンフレット)には、今年の春に上空を訪れたブルーインパルス。かつて鉄壁の防御力を誇った熊本城、それを陰で支えた加藤神社らしい表紙だなあと思いました。
まだまだ残されたままの傷跡
加藤神社を出て、大鳥居の横へ。
宇土櫓(うとやぐら)。見張り台や武器庫、武士の詰め所などに使われた櫓のひとつ。石垣に足場が組まれています。
櫓自体は大丈夫っぽいように見えますが、
ズームしてよく見てみると、壁や瓦にはかなりのダメージが。本当の熊本城の復活はまだまだ先なんだなと実感してしまいます。
少し歩いた先にある戌亥櫓(いぬいやぐら)。
ここは前回とほとんど変わってません。石垣は崩落して、両端の角石だけで櫓を支えているような状態。今回の目的のひとつだったイチョウの黄葉は見事なんですが。
そして、前回ここを訪れたときは立ち入り禁止区域になっていた、西大手櫓門・元太鼓櫓。現在は公開されていて、すぐ近くまでは行けるようになっています。でも、
このような状態になっていました。神社や天守閣は序々に元の姿を取り戻しつつあるようですが、一歩城内に足を踏み入れてみると、まだまだこのように手付かずなのが現実…
なんか、涙が出てきそうになりました。あの美しくて力強い熊本城は本当に元に戻るのでしょうか。心配になってしまう状況です。
イチョウは健在でした!
覚悟はしていても、実際にまだまだ傷が残ったままの熊本城を目の当たりにすると、やっぱりショックは大きいです。
イチョウ並木で有名なお城だけに、美しく色付いた秋景色を紹介できれば…と考えていたのですが。もちろん、天守閣周辺の並木道に近付くことは出来ず。
一応、あることはあるのですが。やっぱりお城といっしょに見たいというか。これじゃ普通の公園に植えてある木とあまり変わらない感じ
今回のルートだとゴール地点になる、
桜の馬場 城彩苑に着いてしまいました。レストランやお土産物屋さんが並ぶ一角。城下町のイメージです。これでだいたい熊本城を一周したことになります。
ここから見えるのが、飯田丸五階櫓。熊本市内からもよく見える櫓で、特に被害の大きかった建物のひとつです。ニュース等でもよく取り上げられていたのですが…
よかった!ここは以前と比べるとずいぶん修理が進んでいるようです。天気が良ければ紅葉ももっと映えるはず。
瓦も白壁も見違えるよう。地震直後にテレビで観たときは、もっともっと傷だらけだったように思います。
そして、この城彩苑の周りをぐるっと囲むように、
イチョウの木が!
返す返すも、天気がイマイチなのが残念です…
本数はそう多くはないですが、ひとまず、城内にイチョウ並木があるということ。徐々にではありますが、“銀杏城”が復活しつつあるというのを実感することができました。
お城の案内をしてくれた、おそらく60代後半ぐらいのガイドさんが、「子供の頃から当たり前のように熊本城を見てました。生きている間に、またあの姿が見れたら嬉しいんですけどね」と話して下さったのが印象的です。
天守閣だけじゃなく、櫓や石垣もすべてが元通りになるのは何年後なのでしょうか。
でも、9ヶ月前よりも城内の開放ははるかに進んでいましたし、バスも停まれるような大きな駐車場も整備されていましたし、休憩スペースやトイレなども増えていて、とても観光しやすくなっていましたし。
そうそう、今回初めて知ったのですが、熊本城って県内でも有数の桜の名所でもあるそうですよ。ガイドさんたちも「春はまた格別ですよ!」と仰ってましたので、できれば来年のゴールデンウィークあたりに、また訪れてみようと思います。