自分で書いておいて、こういうのも変な話ですが。 今回の記事は、「見えてしまう人」や、「ありえないものを感じ
2016/12/13(火)
ワラ・ゴジラ
皆さん、ご覧になられましたか?映画『シン・ゴジラ』。
2016年は久々のゴジライヤーということで、全国各地にさまざまなゴジラが登場していたようですが。わが福岡県にも一風変わった姿で、しかも、こんな場所に!
福岡県筑前町へ
市内から南の方へ向かい、筑前町(ちくぜんまち)へ。福岡県のド真ん中ちょっと南寄りというイメージの、田園地帯が広がる風光明媚なところです。
警備員の案内に従い、特設駐車場に車を停めて、振り返ると、
遠くに見える、あれが噂のワラ・ゴジラか!!
ワラ(藁)で作られたゴジラです。全国的にはどうなのか分からないのですが、ここ福岡ではこの冬しょっちゅうニュースなどで紹介されていました。
近付いてみると、
テレビで観ていた以上にデカい!
映画『シン・ゴジラ』に出てくるゴジラは歴代最大の118.5mだそうですが(ちなみに初代ゴジラは50mだったそうです)、こちらは高さ約7m、尻尾を入れた全長が約10m。
もちろん実物大とはいきませんが、それにしてもド迫力。
そして、細かい部分まで実にリアルな仕上げ。表面はちゃんとワラを使用。
元々は筑前町の秋のお祭りである『ど~んとかがし祭り』のためのイベント展示物として作られたものだそうです。つまりこれは、田んぼに立って鳥などを追い払う“かかし(案山子)”だということか?
今は“かかし”と呼んでいますが、元々は“嗅がし(人間の髪の毛や動物の皮などを焼いて、田畑に近付く害獣を臭いで追い払っていた)”、または“鹿驚”と書いて『かがし』と読んでいたはず。
まあ、おそらくはこのゴジラも案山子の一種なのでしょうが…こんなのが田んぼの真ん中にいたら、鳥やシカだけじゃなく、泥棒も近寄れない!?そのぐらいインパクトがあります。
細部までリアル!
ゴジラの見事さに威圧されてしまいますが、
隅々まで目を配ると、細部まで超リアル!
リアルというよりも、手が込んでいるというか手抜き一切無しというか。
牙も、目の窪み具合も。そして表情も。
肌の質感も特徴的な背中のヒレ(?)も、
とっても丁寧に仕上がっています。筑前町の有志が集まって、内側の骨格部分は家具職人さん(あまり知られてないかもですが、福岡は全国トップクラスの家具生産高を誇る県でもあります)を中心に、外側のワラは小学生やお年寄りの方々も協力して、少しずつ手作業で作り上げたのだそう。
しかも、ちゃんと映画会社の許可も取ったんだそうです。
現地で見ていたときは、周囲の建物とか電線とかが目障りというか、少し興ざめっぽいようにも思えていたんですけれど。
こうやって改めて見直すと、悪くないかも?いや、むしろゴジラっぽいかも?街中に突然放り出された感というか…最強の怪物はいつだって孤独なのだ!
残念ですが、今はもうありません!!
“かかし”ですから、もちろん動いたり火を吐いたりするわけもなく、でもなぜか見惚れてしまい、見ず知らずの人たちと「スゴかですね~!」とか、「写真やニュース映像で見るよりも、ずっと迫力ありますね~!」なんて感心しあっているうちに、
日もすっかり傾いてきました。
残念ながらこの“ワラ・ゴジラ”の展示は、今年(2016年)の12月4日まで。つまり、もう終了しています。もったいないですが仕方ない。。。
夕日に照らされるゴジラ。なんだか寂しげですよ…
まあ、ここ筑前町では、毎年晩秋にこの『ど~んとかがし祭り』を開催しているので、次回作に期待!今のところ、来年も何か“巨大な”かかしを作る予定だそうですので、今から楽しみです。
立ち去りがたく、往生際も悪く、会場出口で振り返ってもう一丁。
このシルエットだけで、「あっ、ゴジラだっ!!」って分かってしまうところに、造形美というか、デザインの素晴らしさというか…60年以上も愛され続けている理由がわかったような気がしました。