>【前編】はこちら< 昔は、近所のお好み焼き屋さんに冷やゴハンだけ持っていったら、焼き
2016/10/11(火)
10月にお参りすべき?な出雲大社【中編】
普通、神社の鳥居といえば…
これは以前紹介した、佐賀県にある祐徳稲荷神社の鳥居。
稲荷系の神社と国津神系の神社を比べるのは少し無理があるかもしれませんが…このように、多くの神社の鳥居が赤色、もしくは朱色をしています。皆さんが思い浮かべる鳥居も、たいていはこんな感じの色ではないでしょうか?
しかし、この出雲大社の鳥居は、
このように無着色です。
このあたり、とても気になったので、出雲大社の神職の方に尋ねてみたところ、
『本来、鳥居には何も塗らないのが普通なんです』とのお答え。
石で作った鳥居なら石の模様をそのままに、木製の鳥居なら木目そのまま、
材料を無垢のままに建てるのが本来の鳥居なんだそうな。
よく言われているように、
■防腐・防火のため
■赤・朱は魔除けになる
の他に、
■仏教の影響を受けた(神道と比べて華やかな装飾も多く、色使いへの配慮もあるためか?)
として、本来は無色だった鳥居に朱い色を塗るのが流行りはじめ、そして、中世以降全国的に広がった稲荷信仰と共に、この鳥居=朱・赤色も全国に広まったのではないか、とのことでした。
「決して朱色の鳥居が間違いということではありません。出雲大社では古来何も色を塗っていない鳥居が建てられているというだけのことです」と、このあたりはさすが、日本の神道の聖地のひとつだと納得。
ちなみに、鳥居に決まった色はないそうです。何色でもOKなんだそうですよ。でもまぁ、あまり派手な色だと有り難みがないですね…
オオクニヌシのお姿が!
そんな鳥居をいくつかくぐらせてもらいつつ、境内を。
やはり、さすがとも思える綺麗さ。無造作に並んでいるようで、見事な調和を保っています。鎮守の森でありつつ、庭園のような美観。
そうそう、もちろんポケモンGOは禁止。
まあでも、実際にこの地にお参りすると、見るべきところや感じることが多すぎて、スマホでゲームしてる場合ではなくなるはず。
さすが神道二大聖地のひとつです。多くの摂末社が。
こちらには巫女さんのお姿。外国からの観光客らしき人たちの、格好の記念写真スポットになっていました。
こんな感じで、そこかしこに触れるべきところがあるのですが、ひとつひとつ細かく書いていくわけにもいかず…
軽く急ぎ足で先に進んでいくと…
おー!これが『ムスビの御神像』。
そして、このお方こそが、
出雲大社の主祭神、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。オオクニヌシです。
“国造り”…山を開き田畑を耕し、道具の作り方や医療などを広める等々、現在に至るまでの日本人の営みを作り整えた神様だとされています。
このムスビの御神像は、国造りのパートナーであったスクナヒコナ(一寸法師のモチーフになったともいわれている、とても小さな神様)が去ってしまい、打ちひしがれているところに現れた幸魂・奇魂(さきみたま・くしみたま)を拝受されようとしているところです。
日本の神話の中でも、とりわけ大切な一場面であり、大和民族の生き方を示す重要なポイントのひとつでもあるのですが…このブログで書くのは場違いっぽくもあるので、この辺で止めておいて。
詳しく知りたいという方は、ひとまず『一霊四魂(いちれいしこん)』という言葉をググってみてくださいませ。
いよいよ拝殿に!
ムスビの御神像のすぐそばにある鳥居、
こちらは銅で出来ています。もちろん塗装なし。珍しい!
この鳥居の先にあるのが、いよいよ、
拝殿です。
出雲大社の顔ともいうべき、神楽殿の大注連縄はまた後ほど紹介するとして、
こちら、拝殿の注連縄も立派です。大黒締めという独特の縫い方。機会があれば他の神社の注連縄と見比べてみてください。
この拝殿の先に、いよいよ、ご神体が鎮座されている本殿が見えてきます。
独特な造りの本殿
屋根から突き出すツノのような千木(ちぎ)、
見えてきました、出雲大社の本殿です。
桧皮葺(ひわだぶき)という、ヒノキの木の皮を使った本殿の屋根の面積はおよそ180坪。ヒノキの皮の部分だけで厚さおよそ1メートル…巨大です!
屋根の三角形の方向が正面(お賽銭箱などが置いてある面です)を向いている、
この写真のほうが分かりやすいかも?このような建築様式を『大社造り(たいしゃづくり)』といいます。もう一方の聖地、伊勢神宮は本殿の屋根の斜面の方向に入り口があり、(アニメのサザエさんのエンディングで、家族みんなが飛び込む家のイメージ)そちらは『神明造り(しんめいづくり)』と呼ばれています。
日本の神社の建築様式はこの『大社造り』と『神明造り』の、大きく2種類に分かれています。大社造の代表格がこの出雲大社ということです。
…と、ここで、ちょっとしたクイズを。
神社の本殿には必ずといっていいほど“御神体”が鎮座されているものです。町の小さな神社のお社さんを覗き込むと、時おり鏡などが置いてあるのを見られると思うのですが、その鏡が御神体。神様が依り代とするもののことです。(※たとえ小さな神社であっても、本当は御神体を覗き込んだりしないほうが良いと思います。)
有名なのは、伊勢神宮の鏡。アマテラスが天孫降臨の際に持たせたとされる『八咫鏡(やたのかがみ)』、三種の神器の一つです。他にも、たとえば名古屋の熱田神宮では『天叢雲剣(あめのむらくも)』または『草薙剣』と呼ばれる刀などなど。
山や巨岩、大木など、社中に収まりきらないものが御神体とされているところもありますが、多くはこのように鏡や宝物が御神体とされているようです。
では、この出雲大社の“御神体”は、いったい何なのでしょうか?
(つづく)