映像制作のボーダーレスの秘密

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「あの世」と「この世」の境目―黄泉比良坂【後編】

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いよいよ、あの世とこの世を繋ぐ場所、

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黄泉比良坂(よもつひらさか)―現在の地名は『伊賦夜坂(いふやざか)』というそうですが―を登っていくことにします。神話の言い伝えによると、この小道の先に“黄泉の国への入り口”が存在するはず。

 

昔、なにかの本に『黄泉の国と現世が繋がるのは夕方』だと書いてあったように記憶しているのですが、

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確かに、日が落ちかけたこの場所の雰囲気は、少し別世界というか。

普通の林道とは違う、なんというか…うまく言えませんが、「空気が硬い」ような気がします。目の前に空気の壁が何枚もあって、それを押し倒しながら歩いていく感じ?

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足元には苔むした朽木。かなり不気味に見えますが、周囲の雰囲気自体はそう気味の悪いものではありません。あやしい気配を感じたりもしませんし。

ただ、面白半分に一人で来るような場所ではないとも思います。

『塞の神』に不義理を…

そんなに急な勾配ではありませんが、

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足元のあまりよろしくない(※滑るので、もしここを訪れる際はスニーカーなどの歩きやすい靴を履いてくるべきです)坂道を歩いていくと、

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「何これ?ガレキの山か!?」と見紛う、こんな石積みが。

よく見ると、

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【中編】で紹介した看板の、こちらが塞の神でしたか!ガレキなどとと思ってしまうなんて不敬極まりない…

しかも!!

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見づらい、変な写真でごめんなさい。これは現場で何気なくパシャパシャと撮っていた写真のうちの一枚。意図などあまりよく覚えてはいないのですが、どうやら立て看板を撮ったもののようです。この記事を書くにあたり、改めて写真を見直しているうちに発見したものなんですが、

『地元では、塞の神に小石を積んで通るという風習が…』

と書かれているではありませんか。。。

あの石積みは、この黄泉比良坂を通る人が『お供え』していったものだったのですね。僕はなにもせず、ただ通り過ぎてしまいました…今、この記事を書きながら、激しく後悔しています。もしかしたら神の怒りに触れてバチがあたったりするかも…

みなさんは忘れませんように。もしこの地を訪れることがありましたら、塞の神に小石をお供えし、道を通らせていただく旨をお伝えすべきかと思います。

いよいよ“黄泉の国”へ…?

そうとも知らず、無作法にズンズンと、

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山道を、“黄泉の国”へと向かう僕。

くどいようですが、ここはかつて心霊写真が撮れることでも有名な場所だったので、今回はすべてオートモードで撮影、そしてリサイズする以外は一切写真に手を加えていません。

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坂道というよりも林道?いや、森の中に迷い込んだような感覚。

ヤブ蚊が猛烈に襲ってくるので、虫除け対策したほうが良いかも?

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一応、このように階段が付けられてもいるので安心しつつ…

と、思ったら、

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突然に何もない普通の山道になり、「順路、正しいのか?」と心細くなったり…

こんなところで遭難したら恥ずかしいなぁ、ボーダーレスのみんなにも迷惑かかるだろうし。身元引受人になってくれるのは篠原さんかなぁ?篠原さんって鼻がチャームポイントだと思うんだけどなぁ、などと考えつつ歩いていくと、

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遠くに看板が。なんやねんなもう、気味悪いなぁ。

近付いてみると、

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行き止まり文字が。どうやらここから先には進めないみたい。

こういう所にこそ、実は何かしらの秘密が隠されてるんじゃないの?と、にわかジャーナリズム精神を発揮して、少し先まで歩いてみたのですが、

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さすがにダメみたい。道は完全に塞がっています。

このままだと本当に地元の青年団や自衛隊や篠原さんに迷惑がかかってしまいそうなので、ここは大人しく、麓まで戻ることにしましょう。

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帰る前に…この世の果て、限りなく“あの世”で1枚パチリと記念写真。

心霊写真は?

登ってくるときはあまり気になりませんでしたが、

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下ってみると意外と急勾配です、黄泉比良坂。

長々と書き連ねましたが、麓の広場からこの行き止まりの看板まで、普通に歩けば30分ぐらい。意外と短いというか、そう距離はない感じ?

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イザナギは妖怪の追っ手を逃れ、ほうほうの体でこの坂道を下っていったのか…

麓まで逃げ帰り、千引の岩で黄泉の国へと繋がる道を塞いだイザナギは、阿波岐原の海岸(現在の宮崎県宮崎市だといわれている)で海水に浸かり、『禊ぎ祓え』を行ったとされています。

その際に生まれた多くの神々の中に、月の神・ツクヨミ(ツキヨミ)、嵐の神・スサノオ、そして太陽の神・アマテラスの、いわゆる『三貴子』の姿が。

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個人的には、この三貴子の登場からが日本神話の本編の始まり、というような印象を受けたりもする…

 

と、いうような、ちょっと堅苦しい話は置いておいて。

心霊写真ですよ。どうでしょうか?前編~今回の後編までの3編に載せた写真をご覧になって、「何か見えた」もしくは「何かを感じた」という方はおられますでしょうか?

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霊感もなにもない、鈍感すぎる僕には何も見えませんし、何も感じないのですが。

もし、何かが見えたり、感じたりしてしまった方も…これまた僕の個人的な考えで恐縮なのですが、そう恐れたり、怖がったりする必要はないんじゃないか?と思うのです。

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ここが舞台となった神話は、読み解けばそれぞれに色々な解釈があると思うのですが、本来は「恋焦がれた相手と再会したい」という想いが形になったともいうべきの、とても美しいストーリー。邪悪な想いが渦巻いているような場所でもないはずです。

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祟りや呪いがあるようなところではない(僕のように興味本位で訪れた場合は知りませんが)はずなので、今回の記事を読んで、何か心に引っかかりのようなものを感じた方は、お祓いなどに行かれるよりも、日本には“神仏習合”という考え方もありますので、むしろこれを機に、お墓参りに行ってみてはいかがでしょうか?

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麓の駐車場まで降りてくると、あたりは真っ暗になりかけ。

いくら悪い場所じゃないとはいえ、さすがに少し怖い…しかも、めっちゃくちゃヤブ蚊がおるし!

虫除けスプレーでも用意しておけばよかったー!恐ろしいぐらいの蚊の大群に追われて、ほんの少しだけイザナギのような気分になりつつ、この黄泉比良坂を逃げるように後にしたのでした。

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