何度も書いていますが、僕は第二次ベビーブーマー。 つまり、それは“一年戦争直撃世代”! そして、なお
2015/02/10(火)
【バンドブーム】アイドル的な支持を得ていたバンドたち 前編
1980年頃~90年初頭に起こった『バンドブーム』。
それまではどちらかといえばアングラ的な、マイナーなジャンルであった“ロック”が一気に日の目を浴び、時代の寵児となった瞬間でした。
若くてオシャレでルックスのいいバンドマン達が、キャッチーなメロディーに等身大の歌詞を乗せて歌う・・・ブームの最中、多くのバンドが女子中高生たちにとっての、いわゆる『アイドル』的な存在になっていきました。
バンドマン達をアイドル視するということ自体は、これ以前から、ビートルズの登場やエレキブーム、グループサウンズといったムーヴメントの中でも、たびたび日本に起こっていたことでした。
ですが、バンドブーム時代にアイドル化した彼らの存在は、当時のバブル景気の後押しもあり、経済規模的にもこれまでとは比べ物にならないほど大きなものとなったのでした。
アイドル化はなぜ起こったのか?
『チェッカーズ』の存在
日本の男性アイドル史を紐解く上で欠かせない存在である『チェッカーズ』。彼らはバンド形式であっても社会現象になるようなアイドルになれる、という道を開拓しました。
バンドブーム時代のレコード会社はこぞって、若くてルックスのいいメンバーが揃っているバンドにチェッカーズの成功論を当てはめようとしました。
この頃の音楽雑誌には“第2のチェッカーズ”“新時代のチェッカーズ”といったキャッチコピーが飛び交っていたものです。
ライブハウスやストリートの解放
今では信じられないことですが、バンドブーム以前のライブハウスには普通の人が近寄れないような、どことなく恐ろしい雰囲気があったものです。
バブル景気の後押しもあり、それまでとは違って普通の人でも入りやすい、新しい経営スタイルのライブハウスやホールが出来たこと。
そして、原宿の歩行者天国・通称“ホコ天”を始めとしたストリートパフォーマンスの場で、バンドのライブパフォーマンスを間近で観る事ができるようになったこと。
これらによっていわゆる普通の女の子たちでもバンドマンに近づける機会が圧倒的に増えました。
音楽雑誌のビジュアル面強化
それまでの音楽(ロック)雑誌は、新譜情報やライブレポート、インタビュー記事が中心の、いわゆる“読み物系”が記事の中心でした。
1984年に創刊した『PATi PATi』(パチパチ)は、カラーページ・写真が中心の内容、バンドマンたちをスタイリッシュに写した表紙など、これまでの音楽情報誌とは全く異なるアプローチでバンドマンたちを紹介しました。
『ARENA37℃』もビジュアル面に力を入れ、この後を追うように『WHAT’s IN?』や『PLUM』など、表紙や内容にカラー写真が多く使われた雑誌が次々と登場し、バンドマン・ミュージシャンたちへの評価が、音楽性だけではなく、見た目のスタイル・顔の良さも大事という風潮になっていきました。
いわゆる『ヴィジュアル系』と呼ばれるバンドたちが注目を集め始めたのもバンドブーム時代のことですが、今回はスタイルも音楽性もそのまま従来のロックのスタイルを貫きつつも、アイドル的な評価も高かったバンドを3つ紹介します。
JUN SKY WALKER(S)
概要
通称“ジュンスカ”。ホコ天ブームを築き上げたバンドの一つであり、今でも当時のバンドブームを振り返る時、必ずと言っていいほど名前の挙がるバンドである。中学時代からの友達を中心に1980年に結成、「一人でも多くの人に見てもらいたい」という思いからホコ天に立ち、80年代の中頃には人だかりで歩行が困難になるほどの動員を呼ぶ。1988年にメジャーデビューするや一瞬で大人気バンドとなり、1年目ですでに武道館のステージに立つ。メンバーのルックス、8ビートタテノリパンクの攻撃的なビート、ストレートな歌詞で中高生を中心に共感を呼び、この当時は男女問わず通学カバンや筆箱などに『J(S)W』と描かれたステッカーを貼るのが流行りとなった。武道館3DAYSも成功させ、アルバム・シングルもチャート1位を獲得するなど、バンドブームの頂点を極めたバンドである。
ONE 1992年リリース
初のベスト盤です。ジュンスカで最初の一枚を買うならこれがオススメです。「すてきな夜空」「スタート」「歩いていこう」「レッツ・ゴー・ヒバリヒルズ」などなど、前期ジュンスカを代表する名曲の数々が収録されています。ハイトーンで澄み切った、カズヤの伸びやかなボーカル、若々しい攻撃的なメッセージソング・・・あの頃の少年少女たちを虜にした、ジュンスカの魅力充満の1枚だと思います。
歩いていこう 1989年リリース
3rdアルバムです。タイトルチューンにもなっている「歩いていこう」はパナソニックのCMソングだったこともあり、バンドブーム世代なら皆さん一度は耳にしているという超・有名な曲です。
注目はこのジャケット写真。スリムなブラックジーンズに白ロンT、逆立てたヘアスタイル。これこそがバンドブーム時代の、極めてスタンダードなファッションでした。
当時の男子高校生たちは、みんなこぞってこの格好を真似たものです。アルバム自体の出来もとても素晴らしく、隠れた名曲「悲しすぎる夜」も収録されています。
B(S)T 2012年リリース
1997年に解散したジュンスカですが、2007年に期間限定で復活し、そして2011年からは完全復活しています。復活第1弾アルバムとして、かつての名曲に新曲をプラスした本作をリリース。
“かつての名曲”ではありますが、すべてが本作のために新しく録音されたもの。
ジュンスカ休止中の間、ボーカルのカズヤは『ジェット機』というバンドを、ベースの寺岡呼人はソロ活動や『ゆず』のプロデューサーとして活躍・・・と、それぞれに音楽活動を続けていたメンバーたちの手によって「歩いていこう」「すてきな夜空」「START」といったおなじみの曲が新たな魂を吹き込まれています。